13.狂気の色

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田中の言葉に、拓真は迷うことなく頷いた。 「私はまったく問題ありません。支社の方とこういう機会を持つのはいいことだと思いますし」 拓真の言葉を受けて私も頷いた。 「私も大丈夫です。確かに北川さんの言う通り、こういうことでもないと、支社の皆さんとの交流の機会がありませんから」 「そうか。それじゃあ、そういうことで先方にも伝えておくよ。当日は二人ともよろしくね」 「はい」 「あと、これなんだけど。向こうに行ったら、こういう点を特に教えてきてほしいんだよね。簡単にチェックリストと説明文的なやつ作っておいたから、持って行ってくれる?」 「分かりました。なるほど……。結構ありますね」 苦笑する私に、田中もまた苦笑いを浮かべた。 「だよね。これを全部支社でしっかりとやってきてくれれば、こっちの仕事もスムーズに捗るんだけどねぇ。……悪い、先に戻るよ。部長に呼ばれてたんだ」 「はい、どうぞ」 田中がバタバタと会議室を出て行ったのを見送って、私は椅子を戻して照明を消した。 「私たちも戻りましょうか」 ドアに手をかけた時、拓真がぼそっと言った。 「碧ちゃんとの出張、仕事だけど楽しみだなんて言うのは不謹慎かな」 そう言われて嬉しかったが、私はあえて真面目な顔をする。 「仕事で行くんですよ」 拓真はくすっと笑う。 「もちろん分かってるよ。ところでさ」 拓真が身をかがめ、私の顔をのぞき込んだ。
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