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梨都子をフォローする池上に微笑ましさを感じつつ、私は苦笑を浮かべて頷いた。
「もちろん分かってますから」
私と池上の会話に、梨都子は不満の残る顔つきで割り込んでくる。まだ言い足りないらしい。
「だって、碧ちゃんは合コンの話には乗ってこないし、ピンポイントで誰か紹介するって言っても全然興味のない顔するし。そうなると、出会いの場なんか限られてくるでしょ?もたもたしてたら、気づいた時には出会いのチャンスなんか相当減っちゃってるし、いいオトコなんてとっくにヒトのものになってるんだからね。ついでに言うと、残り物に福はないのよ」
「残り物、って、お前なぁ……。語弊があるからそういう言い方はやめろよな」
池上の顔がぎゅっとしかめられ、口調も強まったところに、苦笑交じりの声がさらりと降って来た。
「残り物に福はないって、いったい何の話してるの?」
よく知る声に、私と梨都子は揃って首を後ろに回した。
「史也君。いらっしゃい」
「清水さん、こんばんは」
「よう、史也。先週ぶり」
「どうも。なんか今日は暇そうだね」
清水は店内をぐるりと見渡した。
「一番忙しい時間は終わったんだよ」
「そうなんだ。ま、結構遅い時間だもんね」
清水はスーツのジャケットを脱いで椅子の背にかけると、私の隣に当然のように腰を下ろした。
「席はそこでいいの?」
「もちろん。俺の定位置だからね。池上さん、俺のボトル、出してよ」
「オッケー」
池上は清水の言葉に頷いて、ずらりとボトルが並ぶ棚に手を伸ばした。
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