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目的の駅に着き、改札を出た私たちは、そこで私たちに向かって手を振る男性に気がついた。
じっと目を凝らして見て、私は驚いた。
「え……まさか支社長?」
私は拓真を促してその男性の傍まで急いだ。
「やぁ、笹本さん、久しぶりだね。来てくれてありがとう」
「ご無沙汰しています。というか、支社長直々に、わざわざ迎えに来てくださったんですか?すみません、お手数をおかけしました」
「いやいや、無理を言って来てもらったんだ。これくらいは当然だよ。驚かせたくて事前に言ってなかったんだけど、時間通りの到着で良かったよ」
時田はにこにこと言い、それから私の隣に立つ拓真に顔を向けた。
「彼が北川さん?初めまして、時田です。よろしく」
「初めまして。北川です。今回はよろしくお願いします」
「こちらこそ。さて、車で来てるんだ。駐車場まで行こう」
「はい、よろしくお願いします」
私たちは頷き、時田の後を着いていく。助手席には私が、後部座席には拓真が乗る。
「いやぁ、しかし、笹本さんの顔を見るのは久しぶりだよね。笹本さんと一緒に働いたのは丸二年くらいか」
「そうですね。当時は本当にお世話になりました」
私が入社した時、時田は経理課長だった。仕事では厳しいけれど物わかりの悪い上司ではなく、仕事を離れればいいおじさんだったから、彼を慕う社員たちも多かった。私もその一人で、時田が支社に異動すると聞いた時は寂しく思ったものだ。
「ところであの頃の経理のメンバーは、皆んな変わってないか?笹本さんの同期の太田君も元気にやってるのかな?」
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