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「碧ちゃんが真面目なのは知ってるけど、こういう時くらいはもっと適当でいいと思うんだけど……。それで、当てはあるの?」
私は即答した。
「うん。池上さんの奥さん。姉のように思ってる人でもあるの。後で連絡してみるわ」
「池上さんの……。会ったことはまだないけど、それならきっと信頼できる人なんだろうな。でも、もしも池上さんの所がだめだったらどうするの?」
「その時は、ひとまずホテルに泊まって、後はウイークリーとか考えようかと」
「諦めて俺の部屋に来る選択肢はないわけ?」
「だって、一応けじめは必要だもの」
「けじめ、ねぇ……」
拓真がまたため息をついた。
「碧ちゃんの生真面目さが今は恨めしい気分だ」
拓真は組んだ脚の上で器用に頬杖をついている。
私はその横顔をそっとうかがい見た。
「ねぇ、拓真君。本当にいいの?私がまた彼女になっても」
「何を言い出すのかと思えば」
彼は苦笑した。
「俺が君を彼女にしたいんだよ」
彼につられて私もまた苦笑する。彼が私を許し、受け入れてくれたことを、しみじみと嬉しく思う。
「拓真君に再会できて良かった。私のことを受け入れてくれて良かった。私の話を聞いてくれて、一緒に考えてくれて、そして優しい言葉をくれて、本当に感謝してる。元気と勇気が出てきた気がする。おかげで一人でもよく眠れそう。私、部屋に戻るね。押しかけるように来てしまってごめんね。おやすみなさい。また明日ね」
私はベッドから立ち上がろうとしたが、拓真の手に引き留められた。
「待って。本当に一人で大丈夫?何度も言うけど、俺には甘えていいんだからね」
一人で眠れると思ったばかりなのに、拓真の言葉に気持ちが揺れる。
彼は私の顔をのぞき込む。
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