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到着を知らせるアナウンスが流れる。
私は離しがたい気持ちを抑えて、彼の手を解いた。その時ふと見上げた彼の目にも、私と同じ名残惜しげな色が浮かんでいた。嬉しかった。
ホームに降りて、私たちは並んで改札に向かう。
梨都子には今朝も改めて連絡を入れておいた。彼女からは、仕事が終わり次第店に行くからと返信があった。いつも通りであれば、恐らく九時過ぎには姿を現すはずで、それまではまだ時間がある。
「ご飯はリッコで食べようか」
「うん」
私たちは荷物を持ったまま、リッコに向かった。何度か拓真が荷物を持つと申し出てくれたが、たいして重くもないからと断りながら歩く。
ドアを開けると、池上の声が出迎えてくれた。私たちを見て驚いたように目を瞬かせる。
「あれ?碧ちゃん、拓真君と一緒だったんだな。梨都子から、碧ちゃんが誰かと一緒に行くからって聞いてたんだけど、その誰かって、拓真君のことだったのか」
私は曖昧に笑う。
「はい、そうです」
「同じ会社だって言ってたもんな。ん?」
池上が私たちの手元を見て首を傾げた。
「大荷物じゃないか。二人して出張にでも行ってたの?」
拓真が笑いながら答える。
「そうなんです。旅行だとか遊びなら良かったんですけどね」
「ははは、それはお疲れ様。荷物はこっちに置いておこうか?ほら、碧ちゃんのも貸して」
「すみません、お願いします」
池上は私たちの荷物を受け取ってから、拓真に向かって苦笑しながら言った。
「拓真君さぁ、一緒だったなら女の子の荷物くらい持ってやりなよ」
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