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Prologue
重い瞼をゆっくり開けると、見慣れない天井が目の前に広がる。
昨日のことを思い出そうにも、脈打つような頭痛に遮られて、なかなか思うように思い出せない。
ふと、隣から聞こえる寝息に気付いて視線を向けると、そこには鬼上司で幼馴染でもあるアキくんが眠っていた。しかも……
(は、裸……!? というか、なんで私も何も着てないの!?)
それからは、この状況になった経緯を思い出すのに必死だった。いや、とりあえず服を着ようかなとベッドをそっと降りようとした時、グイッと腰を掴まれてしまう。
「……麗、起きた?」
「あ、アキくん……あの、これどういうこと? 私達、もしかしてやっちゃった……?」
「何? なんも覚えてないの?」
アキくんの腕の中にすっぽりと収まってしまった私は、彼の顔を見上げる。じんわりと伝わる体温から、お互い何も身につけていないことを再認識させられた。
そう気付いてからは、心臓が飛び出そうなくらいドクンドクンと大きな音で脈打っていて……。早くこの状況から抜け出そうと、頭の中はフル回転だった。
「ごめん、ちょっと飲み過ぎたみたい。記憶が曖昧で……ひとまず、服着ても良い?」
「ダメ」
「……へ?」
「今服着たら、飛び出して逃げるだろ」
「い、いや、そんなことは……」
「というか、どこまで覚えてるの?」
妖艶な雰囲気と甘さを孕んだ視線に捉えられて、(こんな大人の男になったアキくん知らない……)と全く違うことを考えてしまった。
「早く答えないと、昨日の続きするけど?」
「え、えーっと……昨日は確か私の歓迎会を開いてもらって、その後帰り道がアキくんと一緒で……アキくんは私のこと覚えてないと思ってたから嬉しくて。テンションが上がってバーに行って沢山飲んで……」
「その後は?」
「今は思い出せない……うっ 頭いったぁ……」
「二日酔いか。じゃあここでしたことも、麗が逆プロポーズしたことも覚えてないの?」
「ここでしたこと……はぁっ!? 逆プロポーズ!?」
「そう」
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