違和感だらけの家

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「文ちゃん、ただいまぁ」 俺は猫なで声を出しながら寝室へと入った。 「にゃー」 妻の言う通り、文吉はクローゼットの前に陣取っていた。 香箱座りで俺をじっと見つめている。 可愛い姿に癒される。 癒されるが……… ――やっぱりだ。 ここにも違和感を感じる。 だがそれが何なのか分からない。 文吉の様子も至って普通だ。 ただお座りをして俺の方をじっと見つめている。 すると、文吉は立ち上がってクローゼットをカリカリと引っかいていた。 ――まさかっ! 文吉の行動を見た瞬間、違和感の正体が見えてきた。 そして背後から潜む……… 俺は間髪入れずに後ろ蹴りをした。 「うっ!」 俺の蹴りは妻のお腹に直撃した。 その右手には包丁が握りしめられていた。 突然の蹴りに妻は後ずさりとなり、最後には転んだ。 ――ドンッ! 妻の後頭部は床に直撃し、そのまま意識を失ってしまった。 その隙に俺はすぐに妻から包丁を奪い取った。 そして踵を返して寝室へと戻り、クローゼットを開けた。 クローゼットの中には縄で縛られ口も塞がれたいた。
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