33人が本棚に入れています
本棚に追加
「待ってろ。すぐに助けてやるからな」
俺は妻をクローゼットから出すと、手に持ってた包丁で縄を切った。
そして最後に口の中にある布を切ってやると、妻は大きく息を吐き出した。
妻の顔を見て衝撃が走った。
大きな痣があったのだ。
恐らく妻を語る女に殴られたのだろう。
左眼にできた大きな青タンがそれを物語っていた。
それでも妻は俺に心配かけさせまいとした。
「遅いよ」
俺に文句を言って強気な態度を取っていたが、それが振りなのはすぐに分かった。
「悪かった」
俺は全身が震えている妻を優しく抱きしめながら謝った。
終始、強気だった妻の表情が一気に崩れた。
タガが外れたように涙を流し、寝室内は妻の泣き声で溢れかえった。
俺は妻の気が済むまで抱きしめてあげていた。
最初のコメントを投稿しよう!