山を選んだばっかりに
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腕の力が緩くなった。 やだ、離れたくない。 「そんな、泣きそうな顔するなって。勘違いなんかじゃないって、ちゃんと教えてやるから」 誰も聞いてないのに、内緒話のような小さい声。 彼の顔が近付いてきて、幸せと切なさの中間のような笑みを見せた。 唇が触れ合って、私は目を閉じた。 自惚れでもなく、勘違いでもない。 時間が止まったような山の中で動き出した、私たちの恋。
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