ライバル(300文字小説)

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森楓(もり かえで)。 一番上にその名があることを確認した時、私の心は踊った。 直後、湶律(いずみ りつ)という名がすぐ下にあることに気付き、気分は急降下する。 「また一点差?」 律だ。 勉強はできる。 チャラいのに……。 「勉強も、だ。おい、この神の愛し子に対して負け犬の遠吠えだとか考えるなよ。」 くだらない。 「くだらないとかもな。」 何この人? 「俺は超人。お前は人外の地球外生命体。」 凄い……のだろうか? 私が一言も発してないのに、会話が成立している。 「次は勝つ。今回は俺のテスト対策の怠慢が原因だっただけだ。」 ここ最近、私に対するおちょくりの激しくなった彼の後ろ姿を。 私は、ずっと睨んでいた―――。 猛勉強中も、同墓に入っても、ずっと―――。
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