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魔導具は誰でも使える?
翌日からフィルド直々の魔力訓練が行われる事となった。
とは言え彼も城に勤める魔導士団長様なので仕事は多岐に渡り、会議への出席や来客への対応など登城しなくては出来ない仕事も多くあるらしい。その為、日中はこちらの世界の事をオリヴァーさんから学び、夕方からフィルドの魔力訓練という流れに決まった。
この世界の道具の多くは魔導具というもので、魔力を流し込むことによって機能するという。魔導具は魔力を形にする為の設計図が埋め込まれており、純粋な魔力さえあればそれを実用的な力へと変換してくれのだ。
私の部屋に用意されているポットも水をお湯へと変える魔導具で、入れてから側面に触れる事で起動する。温度の調整は慣れが必要なようで、初めて使った際にはポットの蓋の穴からものすごい勢いで水蒸気が噴き出してしまった。
お湯の量も減っていて、隣で見ていたオリヴァーさんが「火傷には気をつけましょうね。」と、少し頬を引き攣らせた笑みを浮かべていた。
それからというもの、魔道具を使うたびにオリヴァーさんが小さく結界を張ってくれる事になった。「慣れるまでですから。」と、涼やかな笑顔で言ってくれたが明らかに警戒されているのだと分かる。
水が沸いてくる手桶に手をかざせばコポコポを小気味よく沸いてきた水はゴボゴボと溢れて絨毯を浸し、髪を乾かすドライヤーのような魔導具はブオンブオンッと温風を吹いたあと、ゴーっと全てを焼き尽くすような熱風を吹き出し、張っていた結界の有り難さを知るのであった。
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