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エスポワール号の方程式
「オリバー艦長、それはダメです! あなたは死ぬべきじゃない!」
レオは艦中に響き渡る大声で叫んだ。
「レオ、冷静になるのだ。君は優しく思いやりがある。だが、時には非情さも必要なのだ。君たちのためならば、喜んで私は犠牲になる。これは艦長としての決断だ」
レオはオリバー艦長の決断を受け入れることができなかった。二人の人間が生き延びるために一人が犠牲になるか、もしくは三人とも死ぬか。レオにも答えはわかっていた。合理的なのは一人が犠牲になることだ。だが、それしか選択肢はないのだろうか?
* * *
「緊急事態発生! 緊急事態発生!」
レオはけたたましい警報で目を覚ました。正確にはコールドスリープから目を覚ました。
「何が起きたっていうんだ?」
レオは一人ごちる。
「緊急事態発生につき、ブリッジまでお越しください。繰り返します――」
これは最新型ロボット・アルベルトの声だ。緊急事態? 壁に据え付けられた機械は目的の惑星まで残り三日を示している。レオは深い眠りから起こされたことに不満を感じつつもブリッジに足を向けた。
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