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「あら、レオじゃない。あなたも起こされたってわけね」
ブリッジには先客がいた。エミリーだ。彼女は長い金髪を耳にかけながら言った。
「まあね。それにしても緊急事態ってなんだろう? まだ目的地までは三日あるのに」
窓からは目的の惑星が大きく見える。赤茶色の地面にところどころクレーターが見える。
「アルベルト、緊急事態ってなんだい? わざわざコールドスリープから起こしたからには、理由があるんだろう?」
「重大な事案につき、オリバー艦長が到着されるまでお話できません」
目の前に立ったロボットのキンキンした声はそっけなかった。
「私を呼んだかい?」
オリバー艦長が個室のドアから現れる。ドアの高さは長身の彼には少々窮屈なのか、身をかがめていた。
「レオ、エミリー、待たせたね。さて、アルベルト、三人とも揃ったのだ、緊急事態の内容を聞かせてもらえるかい?」
「オリバー艦長、誠に残念ながら地球に残された人類は滅亡しました」
「アルベルト、『人類が滅亡した』という悪い冗談のために我々を起こしたのか」
オリバー艦長がため息をつく。
「いえ、艦長。地球の人類は核戦争のために滅亡しました。食物の奪い合いのために。この宇宙に残された人類はあなたたち三人です」
ブリッジは静まりかえった。
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