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「ーーさて、」
急遽変わった、感情の無い声色。
予想外の結末に。夜の妄想オカズが無くなり悲観的になっていた俺は、帰ろうと席を立ちあがろうとした時にだった。
いきなり掴まれた左手首。強く掴まれたためか、痛みが走る。
不思議に思った俺は、その矛先へ視線を移すと満面の笑顔を向けられていた。
「猿堂さん、被害者ぶって〈プア・ハラスメント〉しただけじゃなく。誤解解けたにも関わらず、謝罪もしてこない相手の対処って……どうしたら良いと思います?」
(プア・ハラスメント…………?言ってる意味が分からない)
「宇宙くん、何かあったのかい?よかったら相談にのるよ。
そうだNA……、そういう時はアメリカだと慰謝料請求が多いな。でも、日本だと……」
そう伝えつつ、再度席に座ると
「わぁ!ありがとうございます。では宜しくお願いします☆」
と嬉々としながら、俺の前に紙切れ一枚を軽やかに置く次男坊。そのA4サイズの用紙を手に取ると。
「…………通知書?
精神的苦痛により……、慰謝料請求ッ!?」
相手の言葉と満面の笑みは、怒りだとここで察した俺。だが、もう手遅れだった。
━━━━━ ただいま、被害者中はどっち?
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