ただいま、被害者中。

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 最後、━━ぢゅっ、とわざとらしくリップ音をいやらしく立てる相手。唇を舐めて離れると、ぶるりと海里の背中が甘く震えた。  たったそれだけのことで、全神経に蕩けるような痺れが駆け走る。理性を侵されていく感覚がじんわり、じんわりと零れた墨汁のように広がっていく。 「はぁ、はッ……、」  やっと、解放された一方的な口づけ。  酸素不足になってくらくらしている脳に、急いで肺にめいいっぱい空気を送る海里。 (なんで、こうなったのだろう……)  どうして、こんな目にあっているのだろうか?  なんで、この人は俺に…… 「君の中は、気持ち良いなぁ………。神龍時当主。アイツは、俺が居ない間にずいぶんと、……ッ、君を味わったようだな」 「━━━━━━ッん!あ、あッ……」  疲労で薄れつつある意識に浮かんでいる海里に、休ませる暇を与えず蜜壺の快楽場所を、擦り上げるように攻めこむ相手。   「━━━━━━ッッ♡」    相手のカリが、海里の雌の部分を刺激してしまったのか、新たな快感が駆け走り腰が浮いてしまう。  共に、起立しかけていた男根は、ピンと起き上がり。鈴口から、ぴゅっと白濁液が飛び散ってしまった。  後に、ぱたぱたと海里の薄い腹筋の上に空しく落ちると。 「可愛いなぁ……君は。あの頃から変わっていない」  相手はその様子に満足したのか、腹筋の上に零れた指の腹で掬い上げ見せつけるように舐め始める。 「甘いな……。白蜜のようで癖になりそうだ」 「もう……、やめ……、あっ、くださ……、ん。もう、突き上げないで……」 「いやだね。なんで?こんなに喜んで俺のを咥えてるんじゃねえか」  この発言に認めたくない、のに……嵐と違う野生的な逞しい逸物に突かれるたびに歓喜で打ち震えている蜜壺。  雄を奥まで咥えてたくて、味わいたくて言わんばかりの雌のように。ジュ、ジュ……と淫らな音色と共に、結合された場所から互いの愛液が混じり飛び散っていく。  この男同士での姦淫。  しかも、妻を亡くし。一歳の息子を子育てしているシングルファザーになってしまい。  十年間以上、約束を待たせてしまった健気な弟とやっと結ばれ。  先程、互いの愛を確かめあった矢先に、━━━この状況。     「前立腺ってさ、男が生まれる前に残っている〈女のGスポット〉の名残って言われているんだぜ。 もしかして、素質あるじゃないかい?君♬」  嵐と違ったテノール調の声色が耳元で囁かれ、淫らな音色が響き渡る中。恥ずかしさのあまり、ーーカァッと頰と胎の奥に熱が孕んでいく。  この強烈な快楽地獄に、酸素を口から入れるのにいっぱいいっぱいな彼。  酸素を取り入れているのに脳は、正常に働かず。この熱に酔ったままである。  嵐が厄除師のシゴトで出かけてしまい、この家の大人は海里と組みひいている目の前の強姦魔しかいない状況下。  しかも、面識ある相手だから達が悪いときたものだ。   「自分の弟は良くて、俺はダメなのかい?神龍時当主……、いや海里くん。 さっきまで、嵐に此処を注がれて善がっていたじゃないか」 「━━━━━━ッ!! な、なんで、それを知って……!?〈猿堂さん〉!!━━━━━━あぁッ……」 「なぁ、それよりさ。俺たち相性良いみたいだ。ほら、見て。こうやって突き上げる度に、君のココから潮が噴き出ているよ」 「━━━ち、違ッ……、感じていな、あっ、あん♡」 「……素直になったらどうなんだ?」 「い、ヤダァ!猿堂当主、お願い、しま……、コレを抜いてくださ……」 「ーーーッ……。海里くん!寡夫になっても、君を大事にする。だから、━━ 俺の嫁さんになってくれ」 「お、お願いします!抜いて……。隣の部屋に一歳の息子が、……あッ♡寝てい……」 「そうなんだ。へぇ~、そんな状況の中。ここで嵐とセックスしていたんだ、お前」 「━━━━━━ッッ……」 「すっごく気持ち良さそうに、喘いでいたよな。それを、アイツが喘いでいるお前の唇を後ろから口付けで塞いで。その後、君の体内に精液を注いでさ。 子供が隣で寝ているのに。ねぇ?」 「………………」 ━━━━━━ それじゃ、初夜続きをしようか。俺の奥さん
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