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「お断りします。僕には、そんなことする義務ありませんので」
この期に及んで悪びれもない相手に、言葉を失った俺。ここまでくると、清々しくて感服してしまう。悪い意味でだ。
そんな複雑な心境の中、腹黒はスンとした冷めた目で真っすぐと見てきた。
「だって………、猿堂さん落札してませんですし。入札したお金は受け取ってませんですから」
「……………HA?」
「いや、ですからね。この依頼小説を落札した人物は、〈別の人〉ってことです」
『ほら、ここに記載されてますよ』と特集ページに指を差してきたので、誘導されるがまま確認すると。
「竜泉寺 巴……?」
思わず、載っていた文字を口にしてしまう。
「そうですよ。今回の落札者は〈竜泉寺 巴〉さんって方なんです」
「ちょっと待てよ!有り得ないだろ!?one day限りで俺の五十万円以上に出せる奴なんか━━……」
「巴さん、普通に百万円出しましたよ」
━━━━━ 負けた。完全なる敗北。しかも、知らない野郎に……
(家に帰宅したら、ヤケ酒コースだNA………。ごめんよ、風羅ちゃん。俺の稼ぎが不甲斐なくて……)
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