世界をコラージュる

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「コラージュで自分の持っている世界を表現する。最初は試行錯誤してたけど、だんだん自分らしさの表現の仕方が分かってくると、するする作れるようになったんだ。すると、絵も描けるようになった。こうやって自分の世界を出すんだ! って。思いだした感じだよ」 「よかった」 「え?」 「ユミカの絵、見たかったから」 「あはは、心配かけてたんだね、ごめん」  駅前の改札を過ぎて、二股の道に出た。ここから右が私の家、左がユミカの家だ。  ――あーあ、もう分かれ道だ。 「サツキ」 「うん?」 「アタシね。大学はまだ、美大あきらめられないみたい」 「……うん。それでいいと思う。まだあきらめるには早いよ」 「そうだよね。でもねやっぱり将来イラストレーターになれるか、不安だなって思いは残ってるんだ」 「そう」  それは私も一緒。小説家になりたいけど、なれる保証なんてない。それがどれだけ不安か。職種がちがえど、同じ不安だと思う。 「でもね、絵を描くことはやっぱり、アタシから切り離せないことなんだ。だからずっと続けていくと思う。仕事にできるかはわからない。でも、仕事にできなかったとしても、描くことはやめない。自分を表現することは、アタシの生きる上で必要なことだから……ううん、ちがう。やめられないことだから」  ユミカはそう言うと、一歩私の方へと近づいた。そして私の手をそっと取った。 「だから、サツキも。小説家になりたい夢を、あきらめないでね。小説を書くことを、あきらめないでね」  ――そしていつか、サツキの小説に挿絵を描かせてね。  ユミカはそう言うと、照れくさそうに笑って、駆けて行った。
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