0人が本棚に入れています
本棚に追加
「次、百均でも良い?」
「いいよいいよ、サツキに付き合う」
「そう言えばお昼はまだ?」
「まだ。この後、カラオケ行こうよ」
「じゃあ、地下のスーパーでおにぎりとか買ってっちゃおうか」
「そうしよ!」
私とユミカはエスカレーターを乗り継ぎながら次に百円ショップへ。ユミカは今度も文具売り場へ向かった。
「またマステ?」
「今度はシール。あとノート」
「ノート?」
「ねえ、サツキ。コラージュって知ってる?」
コラージュ? と私は首をかしげながら反芻した。
「言葉は聞いたことあるけど、何かはわかんない」
「最近、文具界隈で流行ってるんだ。一緒にやってみようよ」
「私にでもできる?」
「できるできる。むずかしくないからさ」
そう言ってユミカはカゴを手に取ると、マスキングテープを数本とシンプルなノートを二冊入れた。次にシールコーナーへ向かう。
「シートシールとかフレークシールとか、いくつか。持ってるのもあるから、気になるのがあったら言って? 持ってないのを買っていこう」
「わ、私もお金だすよ?」
するとユミカは右の手のひらを私に見せた。
「ダメ。今日はアタシのわがままでコラージュやってもらうの。だからサツキはお金出さなくていいし、遠慮しないで。それに百均だから、そんなに嵩まないし」
そう言うとユミカはシートシールを何枚か選んでカゴに入れていった。
切手風のシール、リボンの形のシール、男の子のシールに、女の子のシール。童話風のシールがあるかと思えば、アイドル風のイケメンシールなどもある。種類が多すぎて私にはどれが良くてどれが良くないものか分からない。
「サツキ?」
「ごめん、どう選べばいいのか分かんなくて……」
「じゃあ、好きな色とかで選べばいいと思うよ」
ユミカはシールを二枚手に取ると、私の方へと向けた。寒色系と暖色系、という違いは分かるが、どちらも絵柄やイラストはほぼ一緒だった。
「どっち?」
「えっと、赤系」
「こっちね」
ユミカはさらに数個のシートシールやフレークシールを手に取るとレジへ行った。手持ち無沙汰の私はシートシールを眺めていると、ひとつ気になったものを見つけた。それは英文が書かれた細いシールが縦にびっしりと並んでいるものだった。
「これ、良いな」
私はそれを一つ取ると、手にしたシートシールのうしろが別カラーだと分かり、さらにそれも手に取ってレジへ向かった。二枚のシートシールで二百十円。安いなあと思いながらリュックに放り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!