好きバレ。 By 幸村精市

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好きバレ。 By 幸村精市

「 あーっ..やっぱ幸村くんって格好いいよなぁ 」 と、言いながら窓の外をジッと見つめる。 そこには、楽しそうに体育をやっている幸村の姿があった。 うっとりしながら幸村くんを見詰めていると、偶然なのか目が合ってしまった。 私は恥ずかしさで直ぐに目を逸らしてしまった。 幸村くんが不機嫌そうな顔をしていることを知らずに。 放課後になり、いつものように教室で数十分間の自習をする。 でも今日は集中ができなくて、幸村くんと目が合った事がずっと頭を支配している。 あの時の顔は鮮明に覚えている。 でも、もしかしたらあの顔は別の人に向けての笑顔だったのかもしれない。 あの時、幸村くんを見ようと沢山の女子が集まっていたことを思い出す。 そう思うと胸がズキッと痛くなる。 付き合ってもないのに勝手な嫉妬をする私が馬鹿みたいに思えてくる。 「 ..好きだなぁ、幸村くんの事 」 なんて独り言のようにボソッと呟くと、 「 誰が好きだって? 」 教室の後ろから大好きな人の声がして急いで後ろを振り返る。 そこには、ドアに凭れ掛かった幸村くんがいた。 ビックリしすぎて声が出せなかった。 幸村くんはゆっくりと私に近付いて、目線を合わせるように屈んだ。 「 い、いつから聞いて.. 」 「 いつからっていうか、ずっといたけど? 」 ずっといた。 もしかして、私が自習してた時からずっといたの?予想もしていなかった為、「 はぇ? 」と、情けない声しか出せなかった。 「 て、ていうか!部活は? 」 「 残念、今日は休みだよ 」 カレンダーを確認すると、確かに今日はテニス部が休みの日だった。 やってしまったー!!と、顔を隠すように両手で顔を覆うと、幸村くんは私の手首を掴んでグイッと退かした。 きっと私の顔は絶対に誰にも見られたくないくらいに変な顔をしているはずだ。 最終手段で思いっきり顔をそらすと、無防備になった耳元で、 「 駄目だよ。ちゃんと俺を見て? 」 と、私にしか聞こえない声で言う。 「 ひぇっ 」 「 俺の事、好きだんだろう?じゃあちゃんと見て? 」 そんな事を言われてしまったら、逸らそうにも逸らすことができない。 幸村くんの綺麗な顔が私の視界を覆う。 その顔は、真剣な眼差しで私の事を見詰めていた。 「 それで、告白の返事なんだけど.. 」 「 ま、待って!!!言わないで! 」 「 ?、どうしてだい? 」 「 なんて言われるか..もう分かってるからっ 」 もう少し、もう少しだけでいいからこの恋を続けさせてほしい。 叶わぬ恋でも良い。酷く扱われたって良い。 だから、もう少しだけ、続けさせて欲しい。 「 ...〇〇 」 「 ...、ん? 」 「 そんなに自信があるんだね? 」 「 ....は? 」 そう言うと幸村くんは私の手をそっと取って、チュッと手の甲に口付けをした。 初めて感じた感触と、好きな人に口付けをされた驚きが同時に襲ってきて身を引くことも声を出すことも出来なかった。 「 ....、 」 「 〇〇は、俺にOKしてもらえると思っていたんだよね? 」 「 えっ!?ち、違う!!逆だよ逆、! 」 「 ふーん...ま、俺はどんな告白のされ方でもOKしてたけどね。 」 「 え..、それってどういう... 」 あたかも前から私が幸村くんの事を好きだったと言う事を知っているみたいに言う幸村くんに私は困惑した。 「 前から知っていたよ、君が俺の事を好きだって 」 そう言うと幸村くんは、優しく微笑み私の頬をそっと撫でた。 「 知った時は吃驚したけどね。 」 「 ....、これが好きバレってやつか、 」 「 結構前に好きバレしてるけどね? 」 幸村くんはクスッと笑うと、何を考えたのかギュッと私を抱き締めた。 急な事に頭の理解が追い付かず私も咄嗟に幸村くんを抱き締め返した。 抱き締め返すと、幸村くんはさっきよりも力強く、でも優しく私を抱き締めた。 あんなに中性的な顔立ちをしているが、やっぱり男の子なんだなぁ..と今、身を持って実感した。 「 ..ねぇ、〇〇、俺さ付き合うのとか初めてだし不器用なところもあるけど.. 」 「 こんな俺で良かったら付き合って欲しいな? 」 「 ...!、勿論、お願いします! 」 お互いの告白を終え、私達はそっと誰も居ない教室で口付けをした。
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