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学園祭。 By 白石蔵之介
「 俺と一緒に学園祭回らん? 」
白石にそう言われ、飲んでいたブドウジュースを噴き出しそうになってしまった。
白石を見ると照れくさそうに笑いながら、目を逸らしていた。
未だに頭の整理が追い付いていない私をチラッと見ると「 駄目やったら全然ええんやけど.. 」と申し訳無さそうに言う。
「 行きます!! 」
咄嗟に出てしまった大声。
当たり前だが、クラスの全員が私の方へ視線を送った。
白石は一瞬驚いていたが、すぐに表情を変えて 「 ほんま!?良かったわぁ 」 と安堵の表情を浮かべていた。
一緒に行くのはいいが、何で私となんだろうか。
白石と一緒に回りたい女子は沢山いる、きっと今日までに沢山の女子に誘われたのだろう。
「 ..何で私と? 」
これは聞かないと損するな、と私の本能が言っている気がしたので興味本位で聞いてみた。
私が聞くと白石はまた目を逸らしては、そっと口を開いて、
「 〇〇やなきゃ..嫌なんよ 」
私じゃなきゃ嫌、何故私じゃなきゃ嫌なのか、聞きたいことはあるけどこれ以上深堀りするのは良くない気がする。
自分の中で適当に自己解決した。
「 私じゃなきゃ嫌.. 」
「 おん。〇〇がええんよ 」
お互いがお互いを見詰めていると、クラスメイトの友達が、「 〇〇!明日の文化祭一緒に回らない? 」 と私を誘った。
でも、どうやって断ろうかと考えていると白石は、
「 堪忍な?〇〇は俺と一緒に回るねん。な?〇〇 」
と、私が断る前に白石が断っていた。
友達は、ビックリした顔をしていて、 「 え!?〇〇、白石と回るの!? 」と皆に聞こえるくらいの大声で言った。
それを聞いたクラスメイトは、また私達の方に視線を送って数秒間沈黙していた。
沈黙が終わると、 「 マジかよ!?だから断ってたのか!! 」 「 私も〇〇と回りたかった〜 」 などの声が聞こえた。
私は何故か恥ずかしくなってしまい急いで顔を逸らした。
その時、タイミング良くチャイムが鳴って同時に先生も入って来た。
「 座れー 」 という先生の言葉に皆は自分席に戻り、授業が始まった。
授業が始まっても私は案の定授業に集中することができず、白石の言葉の意味を考えては消して考えては消してを繰り返す。
でも、ある一つの答えを考えたとき、私は正直嬉しくなかった。
「 私の事好き 」 その答えに辿り着いた時、一気に顔が赤くなった気がした。
私と白石は中学一年生からの付き合いで、私はこの三年間ただの友達としか思っていない。
だから好きと言われても友達としての好きなんだろうなと思っていたから照れるという事は無いと思っていた。
でも、今、何で顔が赤くなっているのだろうか。
友達以上恋人未満の関係はだとずっと思っていたが、今は違うらしい。
今は、そんな関係を終わらせてしまいたいくらいに白石の事が大好きになっていた。
楽しみだった学園祭が緊張に変わっていた。
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