溺愛。 By 忍足謙也

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溺愛。 By 忍足謙也

私の彼氏、忍足謙也は噂で聞くと私に激甘らしい。 ほんとか?と、疑ってしまう部分もあるが、皆にどれだけ聞いても頷く以外の返事は無かった。 「 そんなにか? 」 うーん。と、私は今までの謙也の行動を振り返ってみたが、これと言った激甘エピソードは無かった。 そのままずっと考えていると後ろから謙也が「 わっ! 」と私を驚かせた。 「 ひゃ..っ!?、け、謙也! 」 「 あはは、そんな驚くもんか〜? 」 「 もー!驚くって!! 」 流石に考え事をしている時に驚かせるのは辞めてほしい。 そう思ったけど、謙也の笑顔を見ると辞めてとは言えない。 「 で、何や〇〇、何か考え事しとったん? 」 「 あー、うん。ちょっとね.. 」 「 なんや!俺で良かったら何で聞いたるで! 」 多分本人に聞いても何の情報も得られなさそう。 きっと謙也は無意識に激甘になっているのだろうと私は推測する。 「 堪忍な、さっき自己解決したから大丈夫や 」 「 何やねん!自己解決すんなや!! 」 「 えぇ.. 」 謙也が駄々をこね始めたので、仕方なく教えることにした。 「 え、俺が? 」 「 うん、最近めっちゃ言われてるんよ。謙也が激甘だって 」 謙也はその場で考え込んでしまった。 ほら、やっぱ無意識じゃんなんて思いながらも考えるのが終わるまで待機していた。 「 うーん..俺そんな溺愛しとるかなぁ... 」 「 知らんわ、白石あたりに聞いてみ? 」 そう言うと謙也は、「 せやな!聞いてみるわ! 」と言ってその場を後にした。 謙也が居なくなった後も、私は一人で考えていた。 連絡の内容、今までのデートの様子、学校生活等いろんな事で考えていたがやはり思い浮かばない。 私もヒントを貰おうと、謙也と仲の良い男子のところへ行った。 「 ね、ちょいと聞きたい事やるんやけど..ええか? 」 「 お、ええで!なんや? 」 私は友達から聞かされたこと、自分で考えていた事を全部話した。 話し終わると、男子たちは、驚いたような顔をしている。 「 え、自覚してあらへんかったん?〇〇 」 「 ...うん? 」 「 マジかぁ..無自覚って怖いなぁ 」 何を言っているか分からないが、取り敢えず本当に謙也は私の事を溺愛しているんだなと思った。 何だか少し恥ずかしくなり頬を赤くしている私の後ろで、何やら人の気配を感じた。 「 お、彼氏さんやで〜?〇〇 」 「 え、? 」 後ろを振り向くと、其処には明らかに不機嫌そうな顔をしている謙也が立っていた。 「 わ、謙也やん 」 「 何で..他の男と喋っとんの? 」 「 え、? 」 「 はぁ、分かっとらんな 」と溜息をついては、私の手を握って人気のない所まで連れて行った。
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