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「いた! 遭難者だ!」
雪女ギャルたちに連れられて向かった先には、行方不明になっていた登山者の男が雪に埋もれて倒れていた。
肌は冷たいが、辛うじて脈はあるようだ。
「しっかりしろ! 救助隊員だ! 助けに来たぞ!」
男に声をかけ、無線で救助者発見の通信を送る。
しかし猛吹雪のためか、やはり無線は通じない。
「くそ! 動け! 動け!」
無線をバシバシ叩いてると、雪女たちが興味深そうに聞いてきた。
「何してんの?」
「本部に通信を送ってるんだ。でもつながらなくて……」
「ああ、そりゃあたいらがいるからだ」
「へ?」
「電波障害起こしやすいからねー、あたいらの体質」
「そ、そうなの?」
だとしたらどうすればいいんだ。
オレ一人じゃこの要救助者を運べないし。
かと言ってここにこのまま放置するわけにも……。
事は一刻を争う。
どうしようかと悩んでいると、雪女ギャルたちは「なあなあ」と声をかけた。
「あたいらが麓まで運んであげよっか?」
「え?」
「ここで死なれても困るしさー」
「だよねー」
彼女たちはそう言うなり、遭難者の男を「よっこらせ」と二人がかりで持ち上げた。
す、すごい。
二人がかりとはいえ、華奢な身体つきで大柄な男を担いでしまった。
そしてもう一人の雪女はオレをお姫様抱っこしたのだった。
「おおおおお、オレもー!?」
「オッサン、重いー!!」
「重い言うな。装備品がたくさんあるんだから仕方ないだろ。ってか、オレは別にいいんだけど!」
「しゃべらないで。舌噛むから」
言うや否や、雪女たちはものすごい速さで雪山を駆け抜けていった。
「うわ! うわわわわ!」
なんだこれ!
なんだこれ!
ジェットコースター並の速さじゃないか!
めっちゃ速い!
めっちゃ怖い!
「こらオッサン! ジタバタすんなって!」
「ジタバタするなって言われても! こわいこわいこわいこわい!!」
思わず雪女の身体にがっしりとつかまってしまった。
こんな状況なのになぜか彼女の肌から体温が感じられ、「雪女って体温あるんだ」と感心してしまった。
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