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このパフォーマンスは大層ウケた。青山はキレて葉月に向かって突進していた。
あとは無抵抗……やりたいようにやってくれ。あんたが暴れれば暴れるほど、鵜川さんの愛はあんたから離れていく。
突き飛ばされて髪を引っ張られた。そんなに大事なら、仕事なんか放り出してサッサと結婚すれば良かったのに……。
何人かそばに寄ってきて、暴れるメス猫を葉月から引っ剥がした。
葉月は大声で「大事にしないで下さい!」と叫んだ。「誤解の上のことです!」と言って涙のオプションもつけた。
葉月のパフォーマンスを見ていたのは青山一人だ。葉月は仕込みに時間を使ったが、引き金は青山に引かせた。
葉月は、青山に突き飛ばされた時、右肘の内側に擦り傷を負った。
医務室に行って手当をしてもらった。
席に戻ったら、鵜川が葉月を心配そうに見ていた。葉月は首を傾げて大丈夫と身振りで答えた。
多分、この一手必至の差し手で、鵜川さんと青山の間には確実にヒビが入る。
葉月は、また待ちだ。
私は何も知らない。
運命の人がやってくるのを待つだけ。
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