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1.私は、落ちこぼ令嬢です
――それは幼い頃の、儚い記憶。
私の目の前にいるのは、淡い光のような金色の髪と、太陽の光を反射して色んな色に見える美しい瞳。
その瞳が潤み、色がカラフルな宝石になって溢れそうだと思った私は、慌てて両手で掬おうとその男の子の頬に触れた。
「どうしてそんな顔をしているの?」
「だってみんな、本当の僕のことを見てくれないから。加護ばかりを見て、誰も僕のこと……っ」
こんなに美しい子を見ないなんてあり得ないと思ったけれど、その子が本当に悲しそうだったから私は思い切りその子を抱き締めた。
「なら、ルチアが見てる。何があってもずっとずっと、……えっと……」
「……ジラルド」
「ジルドル! うん、ジルドルのことルチアが誰よりも見てる!」
「いや、ジラルド……、まぁいいか。本当に僕だけを見ててくれるの?」
そっと私の腕の中で首を傾げるその男の子が可愛くて、私は大きく頷いた。
「約束だよ、ルチア。もし僕に加護がなくなって、ただのジラルドになっても僕だけを見てずっと側にいてね」
「うん、約束!」
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