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あれから十四年。あの時五歳だった私は十九になり、あの時八歳だったジルドル……いや、ジラルド・カヴァリア王太子殿下は二十二の年になった。
全属性の加護を持ち、神の愛し子と呼ばれる彼は、微笑めば虹がかかり歩くだけで花が咲く。そして呼吸すれば花に誘われる昆虫のように動物から囲まれるという。
挙句の果てに仲睦まじい国王夫妻の子供が王太子殿下しか出来ないのも、彼が神から愛されすぎている故に他の子宝に恵まれなかったというとんでもない噂まで流れるほどだ。
そんなこの国唯一無二、いやこの世界に唯一無二とされる神の愛し子、ジラルド王太子殿下が、何故……
「何故しれっと一介の侯爵家の朝の食事に参加されてるんですかーッ!」
「おはようルチア。今日も元気で可愛いね」
私の叫びに平然としているどころかむしろにこにこと楽しそうに微笑んでいる殿下は、初めて会った時と変わらないプラチナブロンドが眩しく、全属性の加護が反映しているのかその瞳は角度によってエメラルドにもルビーにもサファイアにも見える。
「コンタリーニ家の食卓は王太子殿下に食べて貰えるほど豪華でしたか!?」
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