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転移した貧乏孤児院の料理人、スキルでほのぼの人生を守る〜領主様と料理対決!?〜
「熱ッ」
バリンッ――。
「キャサリン!大丈夫か!?」
「……ご、ごめんなさい」
床にこぼれたシチューと、粉々になったパイ生地、割れてしまった容器が、湯気でかすむ。
「残り15分!」
監視員の言葉に、俺たちは呆然と立ち尽くしていた。
◇◇◇
40手前、バツイチ子なしのおじさんである俺は、学校給食の調理場でぶっ倒れて、なぜかこの世界に転移した。
それから数日。
領主様からの手紙を見てため息をついていた。
「どうしたんですかジュンさん」
この孤児院で暮らす、御年10歳のキャサリンが心配そうに声をかけてきた。
「この前領主様に手紙を送ったんだよ。そしたら、この返事が返ってきた」
キャサリンに手紙を手渡すと、わずか数行の文面を一気に読み終えて、苦い顔をしている。
無理もない、手紙にはこう書かれていたのだから。
『孤児院を支援する余裕はないため、貴公の提案は却下する。ただし、当家が抱える料理番と料理対決をして勝てたのならば、支援を検討する』
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