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半分、青い
——空が、青い
ふと、そう感じてしまうのはなぜだろう。
教室の窓辺から、見慣れたはずの外の景色を見てた。
いつからだろうか?
空に浮かぶ雲を、この目で追いかけるようになったのは。
キーンコーンカーンコーン
「風夏。最近ボーッとしてるけど大丈夫?」
「…ああ、ごめん」
最近になって、考えることが少し増えるようになった。
それはきっとアイツのせいだ。
今どき、靴箱に手紙を入れようとする古典派タイプのバカ。
ラブレターなんて書くもんじゃないよ。
言いたいことがあるなら、堂々と言えばいいのに。
「どうしたの?」
「いやさ、さっき相談されたんだよ。好きな人がいるんだってさ?」
「え!誰々?!」
「蓮」
「蓮くん!?…あれ、蓮くんとカスミってそういう関係なんじゃないの?」
「ちょっと!やめてくれる?アイツはそんなんじゃないって」
蓮っていうのは、私の幼馴染だ。
隣の家に住んでて、保育園の頃からずっと一緒だった。
女兄妹しかいない私にとっては、アイツは弟みたいなもんだった。
…まあ、弟っていうか、同い年なんだけど。
「ラブレターって、誰に出すの?」
「転校生。佳穂も知ってるでしょ?」
「C組の?」
「うん」
「ほえぇぇぇ」
佳穂が驚いていたのは、その“転校生”が色んな意味で曰くつきだったからだ。
ただの転校生じゃない。
それは「事実」だった。
学校中が彼女の噂で持ちきりだった。
転校してきてから、1ヶ月くらいは。
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