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願い
「……えっと、それは……」
少女の言葉に、唖然と呟く僕。……えっと、どういうこと? 僕の願いを叶えることが、アリサさんの願いでもあるってどういう……いや、そもそも願いを何でも叶えるなんて出来るわけ――
「――論より証拠、というほどでもないけれど、手始めに簡単な例をお見せしましょう。今、何か欲しいものはあるかしら?」
「……へっ? あ、えっと……それでは、ソフトクリーム、とか?」
「……ふふっ、この寒い時間に真っ先に思い浮かぶのがそれなのね。まあ、確かに美味しいけれど」
すると、僕の回答に可笑しそうに微笑むアリサさん。そして、その華奢な手を軽く振り――
「…………あ」
ポンと、僕の手元に突如現れたのは――まさしく今、僕が口にしたソフトクリームそのもので。それも、僕の一番好きな、今はもう何処にも売られていないはずのソフトクリームで。
「…………」
もちろん、これを以て彼女の言葉――願いを何でも一つ叶えるという言葉を、全面的に信じるわけにはいかない。それでも――
「――ふふっ、如何かしら? まあ、これだけではまだ信用できないかもしれないけど、少なくとも私の言葉が全くのデタラメでないことは分かって頂けたかと」
「…………」
そう、悪戯っぽく微笑み尋ねる少女。まあ、何となく察してはいたけど――どうやら、この美少女が僕の常識外の存在であることは間違いないようで。
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