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食事を終えると着替えて父王のいる執務室に向かった。
執務室の父の前でリリアの作法で挨拶をした。剣を収めた父は、「よく帰った」と僕を歓迎してくれた。
「リュートがあまりに心配していたが、そうだな、体調がしっかり戻ってからシュリベリアには戻るように。シュリベリアの王からも手紙が届いている。もしも体調が回復しないようであればこのままリリアに残ることも頭に入れておけ」
「ご心配をおかけして申し訳ありません」
深く頭を下げた。
「ローランも心配していた」
「母様には昨夜会いました」
父は頷くとソファーに座るように促した。向かい合わせに座ると侍女が紅茶を用意してお菓子と一緒にテーブルに置いた。
琥珀色の紅茶はとてもいい香りがしたが、どうしてかその香りの不快感に口は付けなかった。
「どうした? 紅茶は好きだろう?」
確かに紅茶は好きだけど、この紅茶は少し香りが強い。
「少し香りが強くて……」
「そうか、一年以上も離れると嗜好が変わるのかもしれないな」
少し残念な顔をした。
そんな顔をさせてしまった。
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