『選択』

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「しばらく国を留守にする。一緒に行かないか? 他国に行きたいのなら俺と一緒に行ってもいいだろう?」 「駄目だよ。僕はΩでもあるし、番にもなれないから発情期もある。兄様について行っても困らせるだけだから」  エリクアは顔を曇らせる。 「それは、留学しても同じじゃないか。誰も助けてくれないんだぞ?」 「大丈夫だよ。もう幼い子どもじゃない。それにシュリベリアはバース性の専門医もいる。心配ないよ」 「何かあったらすぐに知らせてくれよ。すぐに帰って来てくれ」  エリクアは僕の頭を撫でる。一つしか違わないのに、エリクアは僕を幼い子どものように甘やかす。あの事件があった後はそれまで以上に過保護になっている。 「分かっているよ」  頷いてもう一度外を眺める。  視線の先にはクレアがいる。 「もう少ししたら共和国の承諾が出るみたいだな。熱心なのはいいけど、生きているのかさえ分からないのに……」  エリクアの視線の先には熱心に剣を振るリュートの姿がある。
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