『選択』

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 戦をこれまでも納めて来た。7か国もの国が共和国となったのも2人の功績だ。大国リリアが栄えているのは今、側にいるエリクアの外交手腕も奏している。 『ガツッ』  音がして慌てて下を見ると、クレアと手合わせをしていた兵士の木剣が地面に落ちていた。声は聞こえないもののクレアがその兵士に声を掛けているのは分かった。木剣を棚に納めると着ている簡易の鎧を脱いだ。  リュートが周りに声を掛けて稽古は終わりになったようだった。  リュートと共にクレアが着ていた上のシャツを脱いだ。  その鍛え上げられた裸の肉体が露になる。 「無駄に色気があるよな」  一緒に下を見ていたエリクアは苦笑いだ。 「兄様も鍛えているではありませんか」 「俺は剣術には向いてない。あの2人には敵わないよ」  同じ兄弟なのに僕は鍛えても筋肉は付きにくく身体も細い。 「リュクアには俺たちには無い賢さがあるんだ。もっと自信を持て」 「賢くないよ」  αじゃないのだから。  どうして僕はΩなんだ。  同じαなら隣に並ぶこともできただろうに。
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