『策略』

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『策略』

「今夜はクレアも一緒に」  リリアを発つ僕とエリクアの為に食事会が開かれた。  それは前々から予定されていた。  僕はそれを利用した。  リュートと同じ歳の従兄弟でもあるクレアは僕たちと兄弟のように育ってきたが、騎士となってからは食事を一緒に取ることは無かった。他の衛兵たちと同じように壁際や入り口に立っている。 「いえ、私は失礼させて頂きます」  クレアは頑として聞き入れず、広間の入り口に立っていた。 「父様、僕はこれから長い時間をリリアから離れます。クレアにもそのお別れをしたいのです。席に着くことをお許しください」  父王は、「クレア、席に付け。遠慮することは無い」と声を掛けた。父からすればクレアは甥っ子だ。兄弟のように接してきただけに情愛も深い。それに、国王から声が掛けられれば断ることもできない。  クレアは、「ありがとうございます」と言って深く頭を下げると僕の横に座った。 「わがままを言ってごめんよ。クレア」 「すぐに失礼させていただきます」  小声のその声は怒りを含んでいるようにも聞こえた。わがままを言った僕に腹を立てているのだろう。 「クレア、俺の顔も立ててくれよ」
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