『事故と自己と事後』

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 男が未熟な性器を口に含んだ。じゅるじゅると音を立てて吸い上げられると身震いする。幼く未発達のそれに刺激を与えられて驚きと共に恐怖で声が出なくなる。  喉に張り付く呼吸に暴れても男はびくともしなかった。  口を離した男の首元をめがけて足を伸ばした。いくら鍛えても首を圧迫されれば怯む。  案の定ゲホゲホとむせた。急いで起き上がって男を避けると入り口のドアに体当たりした。腕は縛られていて使えない。  ドンドンと肩を何度も打ち付ける。手前に引くドアは内側から押しても開かない。 「うわあっ……いってぇ……」  後ろから肩を掴まれて引き倒された。再び頭を床に打ち付けて意識が朦朧となった。  引き倒された時にドアに服がかかり、大きく開いた。  外からの眩しい光が中に入った。 「リュクアッ!」  開いたドアの向こうから微かにクレアの声がした。バタバタといくつもの足音がする。何度も名前を呼んで叫んだ。 「……助けて、クレアァアッ、クレアァ」  叫ぶと同時に、「ぎゃぁあっ」と男の悲鳴が響いた。  何人もの足音がして、「リュクア様ッ、クレア様ッ」と声がした。
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