508人が本棚に入れています
本棚に追加
シャルサウベーグの国王は父と年の近い国王だ。
温厚な人柄で、公平な判断ができるとして議長を何年も務めている。
馬車は別だったか、一日かけてリリアに共に向かった。
「リュクア、よく帰ってきました」
「お母様、ご無沙汰しております。ご心配をおかけして申し訳ありません」
夜に着いたというのに母は喜んで迎えてくれた。
「温かい紅茶を用意しています。お部屋でゆっくりして、明日にはまた顔を見せてください」
そう言って僕を抱き締めると、「ゆっくり休みなさい」と言って離れた。
僕の部屋は左右に羽を広げた城の構造の左翼側にある。屋上には庭園があってそこが僕のお気に入りだ。
変わってなければいい。
部屋は以前に使っていた部屋と同じだ。
1年以上も留守にしていたのに綺麗に掃除がされて、花瓶には瑞々しい花が活けられてあった。
不思議に思うほどほっとする。
一緒に帰って来たナーシャは他の侍女と忙しそうに荷解きをしている。
「ナーシャ、上の風呂に入りたいんだけど」
「申し訳ございません。着替えをすぐにお持ちします」
段下にはレイの部屋があるのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!