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右翼側は国の中枢を担う役人たちが駐在する部屋がいくつもある。その中にはαも多い。リュートに聞いたが、レイの為に今はαとΩの入城は制限されていて、城内の移動も制限がされているようだ。
Ωにとってはありがたいけど、αには煩わしいだろう。
ナーシャは急いで支度をして僕と一緒に部屋を出た。部屋には風呂があるが僕は上階にある大浴場が好きだ。シュリベリアの別邸の風呂も広くはあるけど、大浴場ほどではない。
「もう遅い時間だから誰もいなければいいんだけど」
「そうですね。リュクア様が帰って来ていることを知らない衛兵もおられるでしょうから……」
「その時は部屋に戻って入るよ。わがままばかりでごめんよ」
「いえ、お気を使わないでください」
ナーシャは恐縮して頭を下げた。僕が留学する時に付けられた侍女のナーシャは長年城に勤めている侍女のジュリの姪だ。あまり歳は変わらないが真面目でよく気が付いて尽くしてくれる。
風呂場に行くと入れ違いで衛兵が出て来た。
「リュクア様、おかえりなさいませ」
慌てて深く頭を下げた。
「ああ、ありがとう」
距離が近くて少し後ろに下がった。
「中は誰か入っているかな?」
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