『贖罪』

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「いえ、私が最後です」 「そうか。ありがとう」  兵士は失礼しますと頭を下げて去って行った。  緊張した。たくさんの人がいる中では大丈夫だけど、こうして一対一だと相変わらず緊張してしまう。 「リュクア様、よかったですね。私はここでお待ちしておりますのでゆっくり入って来てください」 「ありがとう」  着替えを受け取ると中に入った。  兵士に言われた通り中には誰もいなかった。贅沢にも掛け捨てにされているお湯は綺麗で身体を洗うと中に入った。  首輪がお湯を含んで重くなる。 『番を解消されたΩ』は再び噛まれても番になることはできない。今更首輪をつける必要はない。だけど、解消されたΩには解消痕が残る。赤黒く広がった痣だ。実際には番にはされていないので解消痕はないが、それを隠すために首輪は常につけている。  だから、番の噛み痕も誰にもばれることなく隠すことができている。  いつまでかは分からない。クレアが他のΩと番った時にはこれは解消痕となって赤黒い痣に変わる。
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