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「シュリベリアは紅茶が有名な国です。いろんな種類を試していました。向こうでは香りの少ない物をよく飲んでいたので」
父は、「それならこの紅茶は少し香りが強いな」と頷いた。
「気に入った物も沢山ありました。お土産に持って来ているので後でお届けします」
「そうか。リュクアは紅茶に詳しいからな。それは楽しみだ」
「それよりも、兄様の運命の番がここにいるとお聞きしたのですが本当ですか?」
「本当だ。リュートの思い込みだと思ったこともあったが、偶然だけじゃない運命に引き合わされていると思えることが多くあった。ローランもリュートの運命の相手だと納得している」
真剣な瞳に見つめられる。その瞳に迷いはない。
「僕はバース性について勉強しています。証明できないことは信じることは難しいですが、否定しているわけではありません」
研究して、実験を繰り返して、未開の物を暴くのが医学の一端だ。証明できないことを信じることは難しいが、解明できないことは確かにあることを知っている。
父や母も互いを運命の番だと信じている。偶然が重なりあって引き離されても出会えば引かれ合う。それが運命だ。
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