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何も飲んではいない。リュートにも分からないなら他のαにも匂いは分からないだろう。番になるって凄い。
改めて驚く。
「リュクア様、お待たせしました」
ナーシャが急いで戻って来た。手には数箱の紅茶の箱を持っている。
「これにするよ。他は厨房に持っていて。残りは朝食の時にでも使ってもらったらいいから」
「分かりました」
ナーシャが合流してリュートと共にレイの部屋に向かった。ノックをして中からドアが開かれた。
侍女のジュリが深く頭を下げて中に入れてくれる。
銀糸の手入れの行き届いた美しい髪は肩で切り揃えられている。背は僕よりも少し低く、華奢な身体をしている。額の上から鎖骨辺りまで薄いベールが顔を覆っていてその顔は見ることができない。
「初めまして、リュクア様。レイ・ドヌルサザリアです」
「初めましてレイ様。弟のリュクア・ガルリアです」
ベールをしていてもよく通る声をしている。
「顔は見せてもらえないのかな?」
リュートに言うと、どうかと尋ねてくれたが首を縦には振ってくれなかった。
「僕が帰るまでには見せてくださいね」
小さくうなずいた。
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