『事故と自己と事後』

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 リュートは、「頭は2針ほど縫った。発情期は抑制剤を飲ませたからしばらくは安静にしていろ」と言ってホッとため息を付いた。 「リュクア、リュクア」  母は涙をハンカチで拭っている。 「母様、僕は大丈夫です」 「リュクアァ」 「……痛い。痛いです母様」  抱き締めてくる母に訴えるとすぐに離してくれた。 「……クレアは?」  一緒に来てくれると言ったクレアの姿は無い。  一番に助けに来てくれたのに。  あんなところを見て臆してしまったのだろうか。僕を不潔だと思っただろうか。 「今、ちょっと席を外している」  リュートの表情が曇る。  その表情に胸が苦しくなる。クレアは僕をどう思っただろうか。 「どうして? どこに行ったの?」 「今は言えない。後できちんと話すからしばらくは安静にしていてくれ」  リュートはそう言うと、「ガガルフを呼んでくる」と言って母を促してベッドから離れた。
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