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あれ以来那乃は女生徒から頼られる存在になっていった
『那乃ちゃん強いよね』
『うんうん、頼りになるよね』
そんな中
那乃は空手の大会を見に来ていた
『1本それまで!』
ある一人の選手を注目していた
その選手とは嘗て那乃の道場で護身術を学んでいた女の子だった
そんな試合を眺めながら
「ハァ、本当はあたしも、何か大会でたいなぁ、でもばぁちゃんに言われてるもんなぁ」
『いいかい那乃、お前は空手や合気道だけじゃ無く家の流派の柔術を身に付けている、つまり公の場には出れないのじゃ、分かったな』
『何で家の柔術を身に付けてると大会出れないんだろう、あたしも戦ってみたいなぁ』
那乃は自分が殺人柔術を身に付けているとは全く気付いて居なかった
だが公の場での大会を優勝する人物はかなりの確率で那乃の道場に通っていた者達だった
なので那乃は優勝者と戦いたいのではなく、男と戦いたかった、自分の力を試したかった
女生徒から頼りにされる那乃は段々と違う角度から狙われるようになっていく
だが外での古武道は禁止されている以上、のらりくらりとかわすのが日常だった
『ねぇ、もう関わらないでくれない』
『うるせぇ!ハァハァ、ぜったいテメェに痛い思いをさせてやる!』
『はぁぁぁ、あたし弱い者イジメなんて趣味じゃないから』
その場に居た一人の男が
『退け!』
那乃とやり合っていた男を軽くあしらった
『な、何だテメェ、あ?!す、すみません』
『え!何?!』
『おい、調子に乗んなよ』
そう言って男は那乃に蹴りを喰らわした
那乃は咄嗟に蹴りを避けながら反撃しようとしたが
『ハァァァ、と、ヤメヤメ、こんな事してる場合じゃない』
だが男はやめなかった
更に突きを那乃に目掛けて放った
その突きはかなり速く鋭かった、那乃は避け切れず腕でガードした
そのタイミングで先生が現れてその場は収まった
「うそ!アザ?アイツ何者?まさか?あの時の?」
那乃は昔を少し思い出していた
「あの女、あの突きに反応しやがった、かなりやるな、噂通りだな、面白れぇ」
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