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次の日、室橋家の夕食に招かれた。
話を聞いた圭太は、両親の転勤を寂しがる素振りは見せず、俺と暮らせる喜びを全身で表していた。
「それなら今日からそっちの家で寝る」と言い張るのを、「おじさんたちが日本にいる間は、少しでも長く一緒にいて親孝行しろ」と言って止めた。
おじさんとおばさんの見送りには、俺も行った。帰りの車の中で、うちの合鍵を渡した。
「いいの?」
「ないと、これから先困るだろ」
何でもない風に言いながら、それまでの人生のどんな場面よりもドキドキした。
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