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あと一回星が流れたら、という俺の決意は、星ではないものの光によって保留となった。
小さな山に流星群を見に来て、さっさと眠ってしまった想い人。室橋圭太、十七歳。高校三年生。俺の膝を抱えて寝息を立てているのを起こさないようにして、ライトで着信を知らせるスマホを手に取った。
「はい、藤波です」
『奨君? ごめんね、急に』
「いえ。実は圭太が眠ってしまって、帰るに帰れないでいたんです」
『ああ、いいのよ。奨ちゃんと出かけるんだ!って大喜びして、そわそわしてたからねー。だから私たちも、あなたにお願いしてみようと思ったわけなんだけど』
電話の向こうは隣家のおばさん。より詳しく言うと圭太のお母さんだが、話が読めない。
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