「ただいま」を君に

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「私たちっていうのは」 『私と旦那……あ、ちょっと!』  貸せ、と低い声がして、電話の相手が圭太のお父さんに変わった。 『奨君、済まないね。要領を得ない話で』 「いえいえ。何かあったんですか」 『今日会社で言い渡されたんだが、近いうちにロンドンへ転勤することになってね』 「それは……急な話ですね」  身勝手な俺は、圭太が遠くに行ってしまう、と考えて鼓動が早くなった。 『圭太は日本にいたがるだろうから、我々だけで行く方向で考えているんだ。そこで君に頼みたいことは、だ』  話が見えてきて、鼓動が通常運転に切り替わった。
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