「ただいま」を君に

8/15
前へ
/15ページ
次へ
 初めて会ったのは、膝の上のこの子が二歳の時だ。中学に入ったばかりの俺をきょとんと見上げて、抱っこをせがんだ。小さい子を抱き上げるなんて初めてだったけど、胸にじんわりと、温かいものが広がっていった。俺の両親が死んだ時は、この子の前でだけ、涙を流すことができた。 「俺も、圭太がそばにいてくれると助かるんです。本当に」  もしかしたら一生、この恋を秘めておかなければならないとしても。それよりも前から、大切な家族なんだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加