どう見ても?

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どう見ても?

吉右衛門の糞親父がワッチの長屋に来るなんざ・・早々無いんでげす! 「国芳よぉ〜塩梅(アンベー)はどうだ、捗っているか?」 なんだよぉ〜またまた叱言を言いにわざわざ来やがるから始末に悪い・・反対に悔みの一言も言ってやりたいけど・・出来やせん! 「へぇまぁ点点(ボチボチ)(チマチマ)ゝとやっておりやす」 どうせ叱言なら適当に言っておくんでげすなぁ。 「・・ところで・・まさかとは思うが・・また良からぬところにその(ツラ)を出しておるじゃ無かろうなぁ?」 チッ・・どうしてあゝも悔みを言いやがる糞親父。 「いいか国芳・・テメッエはそもそも博才が無い、賭場の良い鴨鍋(カモ)なんじゃからのぉ〜!」 あゝ悔しいぞぇ・・ってまぁその通りなんでげすけど・・面と向かって言われると尚更悔しいでげす。 「ところでのぉ〜依頼した錦絵はどこまで進んでおるのか?」 ワッチは糞親父に描いた絵に眼を差し向けたでげす。 糞親父はワッチの部屋に乾かし置いてある絵を手に取り・・暫し唸っておりやした。 「・・うぅん・・こりゃまた凝った絵だぁ〜?   大川は広くまるで海のようじゃて・・それにしてもこの火の見櫓はどうしたもんじゃ・・国芳よぉ〜儂に説明しておくれで無いか・・おまえも知っていると思うが御丸天守閣より高い物を描くのは御法度なるぞぇ」 やっぱりそう来たか・・でげす。 「親父さま・・それは火の見櫓と井戸掘り用の櫓でして  火の見櫓が約三寸五分なればとなりの井戸掘り用の櫓は七寸になりまする  遠近なれば少し大袈裟に描くにとぉ〜・・まぁワッチのお遊びでげすなぁ」 親父さまはカット眼を見開いて唸っておりやしたってことは!    『気に入った』でげす。
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