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「この者たちも企みに加担しているはず。慎刑司に連れて行き拷問にかけ、あらいざらい白状させなさい」
冷えた声が響いた。兵士たちがさっと両脇にそれる。現れたのは皇后であった。
一心は皇后を睨みつける。
「皇帝陛下殺害って、どういうつもりだ」
「おまえは、陛下にお出しする食事に毒を入れ、陛下殺害を企んだ。おまえが作った鍋の中身から毒が発見されている。言い逃れはできないわよ」
「姉姉は毒など入れていません。それに、鍋は姉姉も口にするものでした。毒が入っていると知っていたら味見なんかしませんよね? 姉姉は毒で倒れたのですよ!」
一心の後ろで詩夏が叫ぶ。皇后はにたりと笑った。
「わざと自分で毒を食したのだとしたら? 自分も被害者だと周りに思わせるために」
「死を覚悟で毒を食らったと? あり得ないだろ!」
「後宮ではありがちな手よ」
「それに、どうして私が燕鶯を殺そうとしなければならない。あいつに恨みがあるわけでもないのに」
「おまえはことごとく陛下の夜伽を拒絶した。後宮の女が陛下の寵愛を拒むなどあり得ないこと。それはつまり、他に思う男がいるからであろう。その男と添い遂げるため、陛下を殺害しようと企んだ」
アホくさ。そんなばかなことがあるか。言いがかりもいいところだ。
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