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その2-2
断崖絶壁の場所に龍の巣はあった。周りは氷に閉ざされている為なかなか見つけられない場所だろう。
「洞窟なんだね?」
「俺も始めて来た。シーヴルの誘導がないとこれなかっただろうな。だが一度来たからもう匂いは覚えたぞ」
「シーヴルいるの?」
「はいこちらに」
「わ!すごい。じゃあお世話もしてもらえるの?」
よかった。オレ料理は苦手なんだよな。作ってもらえそうでよかった。
「はい。今回は初めてですので同行させてもらいました」
「ありがとう!助かる。いろいろと教えてね」
「かしこまりました」
シーヴルは忍者みたいだ。オレにはまったく気配は感じられない。イスベルクにはわかるんだろうな。
「ルミエール。シーヴルはオンブルなのだ。影という意味だ」
なんか読んだことがある。確か小説の中に載っていた。
「影って龍を守る一族のこと?」
「さようでございます」
ニコニコとシーヴルが答える。まるでよくできましたと褒めてくれてるようで嬉しい。
洞窟の奥はキラキラと光って見えた。奥に進むほど壁の色が全体的に虹色っぽく見えてくる。
「これって……ミスリル?」
「ミスリルの原料とでもいうのでしょうか。」
「原料?それは何?ミスリルってどうやって作られるの?」
「俺たちのうろこや皮から?とでも言うのかな?」
「イスベルクのうろこ?……そっか。脱皮するんだ?」
「ああ。今まで龍に成れてなかったから俺もはじめての脱皮なのだ。ボロボロになる汚い姿は見せたくなかったのだが、お前が居ない日々なぞ耐えられそうにないからな。来てくれてよかった」
「なんだあ。そんなの。当り前だよ。オレの場所はいつでもイスベルクが居るところだもん」
「はっはっは。仲が良いことで。さあさあ奥へどうぞ」
一番奥にはおおきな舞台のような円座がありそこにイスベルクは鎮座するらしい。周りにはキラキラする宝石たちが飾り付けられている。そうか。龍はキラキラ輝くモノが好きだと聞いたことがある。
「ここで脱皮されたうろこなどが地中に溶けミスリルへと変化していくのです。変化したミスリルは地流に乗ってこの北の大地の各所に鉱脈として流れつくということです」
「そうなんだ!凄いね」
「はい。しかしこれはアイスドラゴンにしかできません。それだけ主様は稀有な存在なのです。だからどうかこの事はご内密にお願いいたします」
「わかりました。このせいでイスベルクや子孫たちが生け捕りにされたりするのは避けたい。誰にも言いません」
「ユージナルもこれがミスリルになるとは知らない。俺が脱皮するという事しか教えてない」
そうなのか。あんなに仲が良いのに。それだけ大事な秘密なんだ。
「なんか気が引き締まったよ。オレが徐々に番として認められていくみたいで」
「ルミエールは俺の番だ。……それより、その。さっき子孫って言ってくれたが。子作りも考えてくれてるのか?」
「え?まあ……その。今はまだ二人で居たいけど。そのうち、その……」
「くくく。本当にお二人は仲が良いですね。今後もアイスドラゴンの地は栄えることでしょう」
シーヴルが嬉しそうに答えた。
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