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6-1 暑くるしくて面倒な国 sideイスベルク
うだるような暑さ。息をすると熱風が鼻や口から入ってくる。これが熱砂か。
「あっちぃ。うげぇ。暑い~」
「黙れ!ユージナル!俺まで暑くなるじゃないか!」
あの後すぐ俺とユージナルは宰相であるグラソンの目を盗む様に国を出た。そこまでは良かった。だが南下するにつれてこれほど気温が上昇していくとは。そんなことまで考えてはなかった。鍛えてあるので体力的には問題はないのだが、この暑さには精神的に参った。
「いやあ、俺たち北の者にはこの暑さはちぃっと堪えますよね」
「ふん。俺は何ともないぞ。お前の鍛え方がわるいんじゃないのか?」
「いや、イスベルク様だって汗だくじゃないですか!」
まったく、こんなに暑いとは思ってなかった。砂漠に入ってからは俺は早々と氷魔法を展開させた。進行方向に氷の壁を作りながら進んで行くと涼しい風が身体の周りに集まってくる。
「いやあ。こんな長時間同じ魔法を発動し続けるなんてさすがイスベルク様」
先ほどとは違いユージナルがにこにことしている。いや、口には決して出さないがこれ結構辛いんだが? お前わかってるのか?
「そろそろ変わってやってもいいんだぜ。ここから先はお前が氷魔法を展開させるか?」
「いや。俺は護衛のほうに力を使いたいんで。移動の間はよろしくお願いします」
こいつ、言い切ったな。まあ景色が変わってきたからもう少しこのままでいてやろう。
砂漠を抜けると色鮮やかな宮殿と南国の植物が目に入ってきた。葉っぱが広くてデカイものが多い。花々の色もカラフルで目がチカチカする。食べ物も違うようでスパイシーな香りが充満していた。行きかう人々も褐色の肌に赤やオレンジの髪の者が多い。異国に来たと実感できた。
「にぎやか過ぎて目が痛いぞ」
「俺も始めて見るものが多いです」
その日は街の様子を堪能し夜は宿屋でユージナルと軽く飲んで眠りについた。
ところが、朝になると城からの使いの者がやってきたのだ。城へと招待するという。晩餐会への招待状も携えていた。どうやら俺たちは目立っていたようだ。風魔法を身体に巡りあわせていたから頭にターバンも巻かずにいた。というか忘れていた。
「そうでしょうね。肌の色と髪の色が違いすぎる」
「それにしてもよく俺の事が分かったな」
「そりゃ、吹雪だしてたからじゃないですか?」
そういえば暑かったから食事のときに少し。ほんの少しだけ吹雪かせたな。
「真顔であんな技とか出すから冷酷王子とかよばれるんですよ。ここって炎の国だし」
「暑いのだから仕方がないだろ」
「あ~。ひらき直らないで下さいよ~」
「とにかく、公式行事で来てるんじゃないんだ。面倒なことは嫌いだ。お忍びということで断ってくれ」
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「この国は本当に暑いな。この後は18時更新だ」
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