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7-2
寝室で物音がして寝室の扉をあけると先ほどの少年がしゃがみこんでいた。
「おい、大丈夫か?」
心配になり声をかけると見上げてくる瞳を見て息をのんだ。あまりにも綺麗な澄んだ瞳だったから。
「ぁ。頭が痛くて……」
「……そうか。あの高さの階段から落ちたのだからな」
って。何当たり前のこと言ってるんだ俺は。もっと何かマシなことが言えないのか。大きくぱっちりした目がこちらを見てる。思わず抱きしめたくなる。この感情は……可愛いだ!そうだ可愛い!
「おや、起きたのですか? ……可愛い子だったんですね」
俺の後ろにいたユージナルも気づいたか。まだふらふらとした身体を抱き上げるとビクッと身体を固くする。怯えているのか? 人に触られることに慣れないのか?日ごろから虐げられてるのだろうか? なんとかしてやりたいという気持ちになる。そうだ、まずは名前を聞いてみよう。
「俺はイスベルクだ。隣にいるのはユージナル」
「ルミエールです」
声まで可愛いじゃないか。しかもベッドに寝かしたときのふわっとした笑顔。嬉しそうだな。
「さきほどは俺を庇ってくれて悪かった……」
ん? 俺の声が聞こえてないのか? なにか考えてるのか? 眉間にしわが寄ったかと思うと今度は眉が下がったぞ。今度は少し笑った。また難しい顔になった。……なんというか。面白い奴だな。
「く、くくく。ルミエールは面白いな」
「ほへ? 何がですか?」
ほへって? なんだほへって? 俺に向かってそんな言葉使ったのお前くらいだぞ。
「ふははは。百面相していたぞ」
ユージナルもルミエールに興味を持ったのか? なんかむかつく。ああ、俺はルミエールに興味をもったのか。もっとこの子の事を知りたい。もっとたくさん話してみたい。そう思い少しづつ話しかけてみると。
なんとこの国の第五王子だというのだ。本当なのか? こんなボロボロな姿なのに?
「炎の国の王子は4人までしかいないと聞いていた」
「……っ。4人って……」
ルミエールの細い指先が、握りしめた拳が震えていた。周りからそんな風に言われてるとは。ショックだったに違いない。悲しかったに違いない。ルミエールの大きな瞳からポロリポロリと涙がこぼれる。それはとてもきれいな涙だった。
俺はユージナルを見た。すかさず頷いてくれる。俺が口に出さなくてもわかってくれたか。こういうときお前は頼りになるな。よし。ルミエールを連れて帰ろう。この子は俺が護ってやる!
さて、どうやって連れ出すか
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続きは明日の12時更新です。
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