9-1 王と対面

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9-1 王と対面

 王命って何? 絶対ってこと? 逆らうなよってことだよね? 「ありがたく喜べ! 役立たずのお前が、やっと我が国の為に役にたつのだぞ!お前はあの冷酷皇太子への貢物として結婚が決まったのだ」 「もっとわかりやすく説明してもらえますか? 国を代表して嫁ぐことに意味があるってことですよね?」 「お、お前そんなに長く話すことができたのか?」  こいつオレをなんだと思ってやがる! 「まあ今のお前の容姿をみれば、あんな冷酷皇太子の元に嫁がせるのはちともったいないが」  こりゃダメだ。聞き方を間違えた。 「氷の国の何が欲しいのですか?」  単刀直入に聞けば良かった。 「そりゃあミスリルだろう! あれさえあれば魔法効果が倍増する! 本当はあの王子を人質にして氷の国に攻め入るつもりだったがあいつの服はミスリルで出来ていた。だから強すぎて手が出せないのだ!」  バカだ。脳筋の集まりだと思っていたがバカすぎる。おそらくイスベルクはミスリルの服を着てなくても強い。 「それだけではないでしよう?」 「あとの難しいことはわからん! 父上に聞け! 今から連れて行く」  オレが王に会うの? なんか嫌な予感がするんだけど。  第一王子エリュプシオンに連れられて城を移動する。行き交う使用人達がオレを見て驚く。なんだ、一応オレがルミエールってことは皆んな理解していたってことか? わかってて見て見ぬふりをしていたのか。下手に手助けしてバカ兄達に目をつけられたら困るもんね。へー。そうか。ここにはオレの味方はいなかったんだな。……ルミエールは諦めていたから悲しくはない。ないけど虚しいな。こんな場所に未練はないな。早く出て行こう。  謁見の間に入ると筋肉お化けのようなデカい身体に真っ赤な髪の大男がいた。うっすらと見覚えがあるからきっとオレの父親。つまりは王様だろうな。  その向かいにはイスベルク達がいた。なんだここにいたのか。二人ともオレをみて驚いている。ちゃんと着替えたからね。ちょっとは王子らしくなったかな? にっこりと笑ってみせるとイスベルクがオレを睨みつけてくる。ああ、きっと王から無理難題をなすりつけられたんだろうな。ごめんよ。オレまで押し付けられて。申し訳ない思いでいっぱいになる。ちょっとオレ今泣きそうだよ。この際冷遇される覚悟を決めよう。ここから出て行けるだけまだマシだ。それからご飯は一日二回は食べさせて欲しいなぁ。 ~~~~~~~~~~ 続きは18時にて。
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